人権&観光の東山区フィールドワークが好評

 東山区の観光エリアを、観光しながら歩く「人権」フィールドワークを提案しています。今秋は、この東山コースを案内してほしいというご要望を複数お受けしました。なかなか好評のようで、うれしい限りです。

 東山の五条あたりの山腹には、中世以前の京都の代表的な葬送地「鳥辺野」がありました。鳥辺野の入口は“六道之辻”と呼ばれ、生死の世界の境界と見なされていました。この六道之辻の中心に位置するのが六道珍皇寺。生死の両界を自在に往還したとされる小野篁にまつわる故事を伝える寺です。フィールドワークはこの六道珍皇寺を起点または終点にしたコースを歩きます。鳥辺野での葬送の仕事に従事した非人たちは、六道之辻の近くに暮らし、「坂者」と呼ばれました。彼らは祇園社(八坂神社)にも仕え、清目や警護の役割を担いましたが、そのさいは「犬神人」「弦召」などと呼ばれました。…というような話を聞いていただきながら、八坂の塔、八坂庚申堂、八坂神社などを巡り、観光気分も味わっていただきます。時間にゆとりがあれば、祇園東部・祇園甲部といった花街エリアも散策していただけます。花街は女子労働の現場であり、さりげなく“人権”にも思いをはせながらそぞろ歩き、かつ京情緒を堪能する、というのもなかなか良いのではないでしょうか。

 これまでにもいくつかのグループをご案内しましたが、来週も兵庫県伊丹市から来られる皆さんを案内させていただくことになっています。人権フィールドワークというと、被差別マイノリティに関わる場所をチョイスして、点から点へ渡り歩く、というようなものになりがちですが、考えてみれば、どのような場所にも歴史が刻まれていて、歴史が刻まれた場所には必ずや人々の暮らしがあったのであり、人々の暮らしは、それが如何様なものであれ、“人権”の視点から見つめ直すことが可能である以上、この東山コースにおいては、点と点を結ぶ線上をぶらぶら歩き、観光気分に浸っていただきながら、歴史を感じ、人々の暮らしを感じ、人権を感じていただきたい、と思っています。

 東山コースの他、西陣コースというのも用意していますので、ぜひまたお声をおかけ下さい。